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綾部市天文館パオに新常設展示『スペースワーカーズ』── “宇宙ではたらく”体験が、子どもたちの未来を変えるかもしれない

京都府綾部市、豊かな自然と澄んだ空に囲まれた「綾部市天文館パオ」。
2026年3月1日、この地で長年愛されてきた施設に、次世代の宇宙体験を提供する新コンテンツ『スペースワーカーズ』がオープンしました。
宇宙を舞台にした施設は数あれど、その「宇宙ではたらく」ことを体験できる場所はどれほどあるでしょうか。
『スペースワーカーズ』が掲げるのは、SFファンタジーの枠を超えたエキサイティングな職業体験です。
最大の特徴である圧倒的な没入空間は、いかにして生まれたのか。開発チームが追求した『宇宙で働くこと』への想いとその設計思想に迫ります。


国内最大級の望遠鏡を持つ「綾部市天文館パオ」の挑戦

京都府綾部市のシンボルの一つである「綾部市天文館パオ」は、市街地からのアクセスも良く、気軽に星空に触れられる場所として親しまれてきました。
施設最大の目玉は、口径95cmという国内最大級の反射望遠鏡です。
予約なしで本物の星々を観測できるこの施設は、天文学への入り口として重要な役割を担っています。

今回のリニューアルプロジェクトの目的は、こうした「本物に触れる」という施設の魅力をさらに拡張し、次世代を担う子どもたちが「宇宙」を自分たちの未来の一部として、より身近に、より具体的に想像できる場を作ることでした。


コンテンツの革新性:「宇宙ではたらく」という新機軸

新コンテンツ『スペースワーカーズ』が掲げたテーマは、SFファンタジーとしての宇宙ではなく、「宇宙ではたらく」というリアルでエキサイティングな視点です。

コンセプトを具現化した「空間そのもの」のリニューアル
展示室の一角に設置されたのは単なるゲーム機ではありません。
筐体から外壁に至るまで、近未来の宇宙船をイメージした統一感のあるデザインを施し、ブース全体をフルリニューアル。
一歩足を踏み入れた瞬間から、プレイヤーを宇宙船のクルーへと変える没入型空間を創出しました。


圧倒的な没入感を生むハードウェア構成
コックピット前面には、75インチの大型モニターを3面連結して配置。窓越しに広がる広大な宇宙のパノラマは圧巻です。
さらに操縦桿による直感的な操作に加え、映像の動きに連動して座席が振動する物理的な演出を採用。
視覚・聴覚・触覚のすべてを使い、実際に宇宙船を操縦しているかのような臨場感が味わえます。

チームで挑む「協力プレイ」と「知育性」
『スペースワーカーズ』は最大3名まで同時に任務を遂行できます。
未来の働き方を想像させるものから、映画のような緊迫感あふれる内容までさまざま。火星に荷物を届ける「宇宙の宅配便」、スペースデブリを回収する「宇宙の清掃隊」、そして地球へと向かってくる巨大隕石を破壊する「地球の防衛隊」の3種類を用意しています。

ミッションの難易度はそれぞれ異なりますが、どのミッションでも重要なのは、役割分担やチームワーク。
ナビゲーションロイド「パオット」と、綾部市のマスコットキャラクター「まゆピー」による音声ガイドが、子どもたちを優しく、かつ本格的な宇宙の学びへと導きます。

クライアントインタビュー:綾部市天文館パオ館長が語る「TREEを選んだ理由」

今回のプロジェクトを主導した天文館パオの館長、白波瀬利恵氏は、完成までのプロセスとコンテンツを手がけたTREE Digital Studioの姿勢を次のように振り返ります。

── TREE Digital Studioをパートナーに選ばれた決め手は?

制作会社の選定にあたってはプロポーザルを実施しました。TREEさんの提案は、単なる映像コンテンツの導入にとどまらず、『子どもたちが未来の宇宙で活躍する姿を体験する』という一貫したコンセプトが非常に魅力的でした。また、提案段階で見せていただいた映像のクオリティも素晴らしく、映画やCM制作で培われた高い技術力と実績は、私たちにとって大きな安心感となりました。

── 制作過程での印象はいかがでしたか?

進行は非常にスムーズかつ丁寧でした。私たちの細かい要望やわがままな修正希望に対しても、常に期待を上回るフィードバックで返してくださったのが印象的です。毎月の進捗確認会議では、見るたびにアップデートされる映像を確認するのがスタッフ一同の楽しみになっていました。

── 完成したコンテンツをご覧になって、どのように感じられましたか?

イメージ図で見ていた時よりも、実物のコックピットやシートの完成度が圧倒的でした。実際にライトが灯り、3面モニターに宇宙が広がった光景を見た時は、その臨場感に心から感激しました。TREEさんにお願いして本当に良かったです。この空間で子どもたちがワクワクしながら学ぶ姿を見るのが、今から楽しみでなりません。

制作側が追求した「本物のダイナミズム」

TREEの制作チームは、本プロジェクトにおいて「リアリティ」を重要なテーマの一つに据えたといいます。
「子ども向けだからといって表現をデフォルメしすぎるのではなく、宇宙という舞台の壮大さやダイナミズムを、可能な限りリアルに感じてほしいと考えました」と、制作担当者は語ります。

また、現在進行形で行われている宇宙宅配実験やスペースデブリ問題など、実在する事象を背景に設定した点も特徴です。

「宇宙で働くことは、もはや遠い空想ではありません。現在進行形で行われている宅配実験や、社会問題化しているスペースデブリ。そうした『宇宙の事実』をコンテンツの根底に据えることで、体験した子どもたちが未来の宇宙開発を自分の事として想像できるような演出を心がけました」

未来を創る体験デザインの可能性

『スペースワーカーズ』の導入によって、綾部市天文館パオには「見る展示」だけでなく「体験する展示」という新しい魅力が加わりました。
映像と空間演出を組み合わせたこのブースは、子どもたちが宇宙をぐっと身近に感じられるきっかけになるはずです。

「自分も宇宙で働けるかもしれない」。
そんな想像が広がる体験は知的好奇心を自然に刺激します。
今回のリニューアルには、子どもたちの未来につながるきっかけを作りたいという思いが込められていると感じました。

映像制作にとどまらず、空間全体を一つの体験として設計するTREE Digital Studioの取り組みは、地域施設の可能性を広げる挑戦でもあります。
テクノロジーを活用しながら、地方の教育や学びの場に新しい価値を加えていく。
今回のプロジェクトは、その一つの好例と言えるでしょう。

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記事執筆:久保木たけし
フリーランスライター。企業へのインタビューを中心に、製品開発の背景や経営思想を取材。徹底したヒアリングに基づき、読者の知的好奇心を刺激する記事を執筆中。

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